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AIと人間の力を結びつけるツール“ツクレルSEO”を開発。一人ひとりの可能性を広げるための、AIとの正しい向き合い方とは?

技術の進化が著しいAI(人工知能)。なかでも生成AIは、文章や画像、音声などを自動的に作り出すもので、さまざまな業務の効率化を図れると大きな期待が寄せられている。

“ツクレルSEO”は、マイナビが約20年にわたってWEBメディアを運営してきた知見を生かし、生成AIを使ってSEO記事を作成できるSaaSツールだ。

何を目的に、どんな効果があるのか。そして、ツクレルSEOを通して実現したい世界とは。

開発にあたったコンテンツメディア事業本部の曽我則幸、中嶋将光に語ってもらった。

時間の掛かるSEO記事作成から、自分たちを楽にしたいが、ツクレルSEO”開発の原点

SEOとは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の頭文字をとったもので、SEO記事とは、Webサイトを検索エンジンの上位に表示させることを目的に作られた記事のことを言う。ユーザーのニーズを分析し、どうしたら多くのユーザーの目に留まるのかを第一に考え、制作される。そこに生成AIを活用しようと思ったのは、どうしてだったのだろうか?

 

「私たちがいるコンテンツメディア事業本部は、“マイナビニュース”や“マイナビ子育て”などのメディアを使ってクライアント企業の広報やマーケティング、広告宣伝の支援をする部署です。それらの自社メディアの記事作成に関してはもちろん、クライアントのオウンドメディアのSEO記事を受託して作ることもあります。マイナビは約20年メディアを運用してきており、SEOに関する知識は豊富です。しかし、SEO記事をつくるには、ファクトチェックや競合分析などの細かい作業と多くの時間を要するため、時間が取られることや、1記事あたりのクオリティが担保できないことが長年の悩みでもありました。」(曽我)

 

ユーザーは、自分の知りたいことを検索エンジンの検索窓に入力し、欲しい答えを探す。一回で当たることもあれば、結果に満足できずワードを追加したり、削除したりしながら、試行錯誤する。コンテンツを提供する側は、ユーザーはなぜそれを検索するのか、どんなキーワードを入れるのか、競合はどんなコンテンツを作っているのかを調べながら、的確なアンサーを返さなければいけない。確かに曽我が言うようにSEO記事をつくる作業は地道な作業が必要だ。

 

「そこにAIが登場し、これはいよいよ自動化できるのではないかという思いが強くなりました。サービスとして皆様に提供するというよりは、自分たちを楽にしたいというのが、“ツクレルSEO”開発の発端ではありました。」(曽我)

現場での実作業を知らないと、良いサービスは作ることができない

オウンドメディアの運営、それに伴うSEOコンテンツの制作は、ファクトチェックや競合分析などの業務があるため片手間にできる作業ではなく、他の仕事と兼務しながら進めることは難しい。“自分たちを楽にしたい”と感じるのは、マイナビだけではなかった。

 

「僕は、クライアントへマーケティングやプロダクトの改善に関わっています。SEO対策はかなりの時間を要しており、大事なことですが、専門性が高いからこそ経営層などには理解されにくい。そのため、専任で担当することはなく、他の業務とSEO対策を合わせて任されると悩んでいるクライアントばかりでした。僕はそんなクライアントの悩みを解決したいと思ったんです。」(中嶋)

 

SEO記事制作のAIによる自動化は、もちろん業務効率のためではあるのですが、どうしても制作経費の削減という話になってしまいます。しかし、AIの進化はものすごく速いですし、どんどん良くなっています。“ツクレルSEO”も技術の進化に従ってアップデートしていく必要があります。そのためにも、同じ悩みを抱えているクライアントにも提供して使っていただき、プロダクトのアップデートに活かしていきたいと考えました」(曽我)

 

こうしたクライアントの課題を解決するため、“ツクレルSEO”は2024年から本格的に開発が始まった。

 

曽我は開発にあたり、生成AIを使った記事制作サービスをいくつか試してみたという。

 

「様々なサービスを試す中で、実際に現場でSEO記事を書いていない人が作ったものだなというものもありました。生成AIは、プロンプトという命令の出し方によって返ってくる答えが全く違ったものになります。ただ文章を作るだけなら何も気にする必要はないかも知れませんが、私たちが目指すのは、読者にわかりやすく、納得できる答えを出してくれるものです。なので、プロンプトのチューニングには一番苦労しました。また、正しい情報を発信しなければいけないですから、精度の高いファクトチェックの機能をつけることにも気を遣いました。」(曽我)

AIの作ったものに、人が専門性、オリジナリティを加える

20年間のWEBメディア運営で積み上げてきた知見をもって開発した“ツクレルSEO”には、どのような特徴があるのだろうか。

 

SEOを意識したコンテンツをAIで作ることがゴールではありません。ユーザーが求めているのはそういったコンテンツではないはずです。AIに任せれば、もちろん記事を簡単に作ることはできるのですがとても抽象的でわかりにくいことが多いです。そこに人間が肉付けして、専門家ならではの情報を加味することで、ユーザーにとっても有益な血の通ったコンテンツになるはずです。ですから、自動化できるところは自動化しますが、専門性やオリジナリティなどはクライアントで手を加えてくださいとお願いしています。」(曽我)

 

中嶋が担当の保険業界の顧客が“ツクレルSEO”を導入したところ、大きな成果を感じてもらったと語る。

 

「もともとは他の業務と兼務しながら、数人でSEOの記事を手作業で制作しているクライアントで、SEOならではの作法やキーワードの選び方などにどうしても手が回らないような状況でした。そこで、自動化できるところは、“ツクレルSEO”を使い、専門的な部分や自社ならではの情報を手作業で付け加えていただいたことで、 “こんな場合も保険が適用される”とか“申請方法はこのように行う”などといった、お客様のかゆいところに手が届くような情報を発信でき、とても喜ばれたと聞いて、僕も嬉しくなりました」(中嶋)

つまり、“ツクレルSEO”とは、ただAIに任せて終わりではなく、ファクトチェックや競合分析など誰が作業しても同じになるような部分は自動化し、そのほかの構成や文章を整えることを人間の手が入ることによって差別化できて、付加価値が発生するところは丁寧に作る。それによって制作者の負担は軽減でき、ユーザーも欲しい優良な情報を手に入れられる。

 

「“ツクレルSEO”の導入によって、作業の効率化、品質の標準化ができることには良い評価をいただいています。ただ、クライアントの中にはAIは何でもできるのだと、過度な期待値を持たれているケースもあります。しかし、誰がやっても同じ、成果も人によって変わらないような所はAIに任せて負担を減らし、人の手で行わなければいけない業務に注力する方が全体としては良い方向に進むと思います。“ツクレルSEO”で、継続的に記事を制作し情報発信できるようになったという声もいただいていますし。このようにどう使うのが良いのかをきちんとお伝えして、正しいAIとの付き合い方を普及するのも自分の仕事と思っています」(中嶋)

 

負担の軽減という意味で言うと、“ツクレルSEO”はまず“自分たちが楽をするため”に作ったと曽我は語っていた。その目的は達成されたということだろうか。

 

SEOはもちろんですが、コンテンツ作りは自動化できる領域はかなり多いと思っています。ですから、自動化できるところはどんどんAIに任せて、一人ひとりの人生の可能性が広がるよう、豊かな生活を実現するための選択肢を提供できるようにしたいと思っています」(曽我)

 

(まとめ)

AIは、確かに便利な技術だが、正しい付き合い方がある。“ツクレルSEO”は、まさにAIの得意なところと、人間の力でなければなしえないところを結びつけ、より有益なものを生み出すツールだ。使う人間も、できたコンテンツを受け取る人間も、共に幸せにする。これからもアップデートが続けられ、どのように進化していくのか楽しみだ。

 

Profile

曽我則幸(そが・のりゆき)

執行役員 コンテンツメディア事業本部 副事業本部長

2015年にマイナビに中途入社。マイナビ入社後は旧学生の窓口事業部にて、エンジニア・営業・編集・制作・マーケティング・事業推進領域などの業務を行い、2020年1月に事業部長に。2022年1月からコンテンツメディア事業本部に配属後、「ツクレルSEO」の開発責任者を務める。2025年1月に執行役員に就任。

 

中嶋 将光 (なかじま まさみつ)

コンテンツメディア事業本部 事業戦略・推進統括本部 ツクレル推進チーム チーム長

2018年にマイナビに中途入社。マイナビ入社後は旧学生の窓口事業部にて、営業に従事。20224月からコンテンツメディア事業本部に配属後、広告提案営業や事業推進、事業開発などの業務に従事し、2025年4月より「ツクレルSEO」のチーム長を務める。

 

【取材・文:定家励子(株式会社imago)】

【写真:吉永和久】

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