株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国の企業、個人を対象に実施した、「最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)」を発表しました。
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【TOPICS】
◆最低賃金の全国平均1,500円への引き上げ、83.1%のアルバイト就業者が「実現してほしい」。「生活が苦しい」「物価が上がっているから」など経済的負担が理由に【図1、2】
◆一方で、最低賃金の全国平均1,500円への引き上げについて、アルバイト就業者の約半数が「実現しないと思う」【図3】
◆56.3%の企業が、最低賃金の全国平均1,500円への引き上げに合わせて、自社の賃上げは「できないと思う」。理由は「現状と乖離が大きすぎる」「業績が追いつかない」【図4、5】
◆最低賃金全国平均1,500円になった場合に、企業が最も懸念するのは「人件費の増加による経営圧迫」。雇用体制は維持しつつ、「価格転嫁」や「設備投資削減」で対応する傾向【図6、7、8】
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【調査概要】
◆最低賃金の全国平均1,500円への引き上げ、83.1%のアルバイト就業者が「実現してほしい」
「生活が苦しい」「物価が上がっているから」など経済的負担が理由に
アルバイト就業者に、最低賃金を全国平均1,500円に引き上げることについて聞いたところ、「実現してほしい(実現してほしい+どちらかと言えば実現してほしい)」が83.1%で、「実現しなくてもいい(どちらかと言えば実現しなくてもいい+実現しなくてもいい)(16.9%)」を大きく上回った。「実現してほしい」理由では、「生活が苦しい」「物価が上がっているから」「仕事内容が大変だから」などの意見が挙がった。一方で、「実現しなくてもいい」理由では、会社から「求められることが増えそうだから」といった賃金向上に伴って業務負荷が増えることへの懸念の声や、「扶養内で働くので年収は変わらないから」などの意見があった。【図1、2】
【図1】
【図2】
◆一方で、最低賃金全国平均1,500円への引き上げについて、アルバイト就業者の約半数が「実現しないと思う」
最低賃金を全国平均1,500円に引き上げることについて、社会で実現すると思うか、また実現する場合いつ実現すると思うかを聞いたところ、「実現しないと思う(47.6%)」が最も高く、「2025~2029年に実現すると思う(20.7%)」、「2030~2034年に実現すると思う(19.5%)」と続いた。約8割のアルバイト就業者が最低賃金1,500円引き上げに期待を寄せる一方で、実現については慎重な見方をしていることがうかがえる。【図3】
【図3】
◆56.3%の企業が、最低賃金の全国平均1,500円への引き上げに合わせて自社の賃上げは「できないと思う」
理由は「現状と乖離が大きすぎる」「業績が追いつかない」
企業の採用担当者に、最低賃金の全国平均1,500円への引き上げにあわせて、毎年段階的に自社の賃金の引き上げを行うことができるか聞いたところ、「できないと思う(どちらかと言えばできないと思う+できないと思う)」が56.3%で、「できると思う(できると思う+どちらかと言えばできると思う)(43.7%)」を10pt以上上回った。
「できないと思う」理由では、「現状と乖離が大きすぎる」「業績が追いつかない」など、人件費や経営への影響を懸念する声が多く見られた。【図4、5】
【図4】
【図5】
◆最低賃金1,500円になった場合に、企業が最も懸念するのは「人件費の増加による経営圧迫」
雇用体制は維持しつつ、「価格転嫁」や「設備投資削減」で対応する予定
企業に、最低賃金が全国平均1,500円になる場合の不安点・懸念点を聞いたところ、「人件費の増加による経営圧迫(52.7%)」が最も高く、次いで「価格転嫁した際の価格競争力低下(29.2%)」となった。
また、最低賃金が全国平均1,500円になった場合、雇用する人員に対してどのような対応をとるか聞くと、1人あたりの労働時間は「変えない(68.3%)」が最も多く、人員数(人員体制)についても、「変えない(64.9%)」が最も多かった。人員への対応とは別に、最低賃金が全国平均1,500円になる場合に企業としてどのような対応策をとるかでは、「価格転嫁・値上げ(37.0%)」が最も高く、次いで「設備投資削減(24.9%)」だった。【図6、7、8】
【図6】
【図7】
【図8】
【調査担当者コメント】
最低賃金の全国平均1,500円への引き上げについて、約8割の人が実現を希望している結果となりました。物価高なども影響し、収入を上げたいというニーズがうかがえます。
この調査では、最低賃金が全国平均1,500円に引き上げられる場合、7割以上のアルバイト就業者が「私生活の豊かさ」と「仕事への意欲」が向上すると回答しており、仕事・生活が相乗的に高まっていくことも期待ができます。働く人側の視点で考えると、モチベーションや組織へのコミットメントに一定の効果が期待できるかもしれません。
一方で、企業では1,500円への最低賃金引き上げに合わせて、自社の賃金水準を上げることへの懸念がうかがえました。雇用体制は維持しつつも、賃上げによる人件費増加分を「価格転嫁」や「設備投資削減」で補う対応をする企業も多いと考えられます。この場合、企業の生産性や市場競争力に影響し、経営や雇用の在り方が変化する可能性があります。
そのため、最低賃金を1,500円の水準に引き上げる際には、実現時期の目標ベースで進めるのではなく、企業の実態・雇用や経営への影響も十分考慮しながら、議論することが求められると考えます。
キャリアリサーチラボ 研究員 宮本祥太
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『最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)』
■調査方法:インターネット調査
■対象者:
個人:473名
全国の15-69歳の男女(中学生を除く)のうち、2024年11月時点でパート・アルバイトの仕事をしている人(2024年9月~10月の2か月間に非正規雇用の仕事を探した人)
企業:863社
従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の非正規雇用労働者の採用方針について把握している人(2024年9月~10月の2か月間に採用活動を行った又は新規採用を行った人)
■実施期間:2024年11月1日(金)~11月6日(水)
■調査主体:株式会社マイナビ(アンケートモニター提供元:外部調査会社)
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります
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